扉を開けると、そっと中を覗き込む。 そこは、相変わらずの黒が多い部屋。 助かったことに、そこには誰もいなかった。 ホッと息をついて、クローゼットに近付く。 そして、クローゼットを開けようと手を掛けた――。 ――その時。 ガチャリ、と扉の開く音がして。 扉へと視線を向ければ、 「あ」 「あ゛?」 扉を開けたであろう、なぜか不機嫌そうなそいつの声とあたしの声が混じり合った。