『天使の泉』。

ここはなにか落ち着く。

加奈は館内の天使の絵を見回す。

天使に囲まれてるみたいだ。

「加奈、よく来たわね」

月野いずみが笑顔で迎える。

「前世でもカナン、あなたはよくここへ来たわ」

「いずみさん、教えて。シオンに会ったわ。私、彼を良く知ってる。そんな気がするの。私の前世でいったい何があったの?」

「十夜、加奈に話していいかしら?」

「・・・ああ、加奈なら大丈夫だ」

「わかったわ。加奈もそろそろほんとうのコトを知らなければいけないわ」

「私、覚悟は決めてるわ。だから、いずみさん、真実を話して」

「これは・・・月があなたに与えた宿命ね」

月野いずみが、月見草を手に取り、愛おしむように見つめる。

「これは、カナン、あなたと、トオヤとミズキ、そして・・・シオンの悲恋の物語よ」