「…なぁ、オウ!聞いてんの?!」


…聞いてますとも。


アヤはさっきから夏休みの計画を頑張って建てています(笑)

面倒臭かったあたしは
無視して寝たふりをする。



「オウってば!起きてるんやろ!明日から夏休みやねんけど?!」



「…オウ!」

―…ドキン


…この声は、

顔を見なくても分かる。


「…レン?………あ。」

声を出してから思い出した。

あたし、今、喋ったらアヤに半殺しにされる…



「オウ!起きてるやん、このアホ!!!」
ゴンっ!


頭、叩かれたぁ…

いたすぎ…



「ご、ごめんアヤ。…つか、レンは?」


顔を上げて辺りを見回したところ、レンの姿がない。


「…桜井はいませ~ん!どうしてでしょうか?」


はっ?


あたしの頭が混乱する。

えと、つまり、


つまり…

「…はぁ?」


分からなさすぎて
聞き返してしまった。



「正解は…じゃん!



…オウっ!」


…犯人はケータイのボイス。

「つか、なんで?!」



「色々役立つかなと、入手しました~♪」


「レンからっ?!」


「そ♪

“オウのためならナンボでも”

やって!」



あ、あのヤロ…!!



「って!それはそうと、

明日から
どうすんの~?!!」

アヤの声を聞いて


また寝たふりをするあたし。


「…オウっ!」

――…ビクっ



レンの声、聞いただけで反応しちゃうあたし…


ケータイのボイスってわかってるくせに…


「…オウっ!…起きろって!」


――…??!!!



…今、

“起きろって”

って言った??!


…れんの声で。