ガチャン!!!






「パン!」






「エリー様私の後ろへ…。」






「あれは野犬なの?!」





すらりと包丁を構えながら
「いえ、おそらく魔族でしょう。」






黒い人並みにデカイ犬が数匹襲ってきた!






パンはありとあらゆる調理器具で応戦、包丁が跳び相手を斬りつける。年老いた小柄なガーゴイルの動きは俊敏で無駄がない。






ガーゴイルは疲れを知らないし怪我もしない…。





でももし…。破壊されたら終わり…。






数が多い。小柄なガーゴイルにいっせいに飛びかかる。
やや体勢が崩れ魔力が凝縮された玉が足に当たる…。






「パン!いやぁ!!」






ガーゴイルにひびが入る。






魔族は人の姿に戻る。






「エリー様お逃げください!!」






振り返ると魔族…。体が浮く…。パンにかぶさる犬の群れ…。






「だめぇぇぇ!」






叫び声が響く。






「エリー様!ダメです…。抑えて…。」






もう、遅い…。どうにも出来ない。止められない…。体が成長する。






小さな女の子は少女へと…。






意識は途絶えた…。






「これが…。永遠の魔力。イニシエの乙女…。」





「エリー様!」






ガーゴイルは動けなくなった。






「さぁ、乙女よ。その力を解放せよ。」






ビュン!
炎の矢が飛んでくる。魔力で弾き出す。






「おっと!それ以上俺のエリーに触んないでくんな~い?」






「エリー!」






炎が魔族を包み込み…。
「これが噂の魔神達か…。なんて脆い…。」






巨大な魔力の球が落ちてくる!!
「サリ!!」




巻角のガーゴイルが消えた。





「あぁ…。言ってなかっけ?俺は速さでは負けないんだなぁ…。なんてね。」