優しい声がした。 懐かしいような、けれど聞いた事もないような。 それは一体どっちなんだと 自分でも思うけれど、よく解らない。 その声が、俺を呼ぶ。 「なお君、開けて?」 子どもに呼びかけるような、猫なで声。 優しく甘ったるい声。 俺は体を起こし、 ふらふらと扉に手をかけた。 開けないと。 おかあさんがよんでる。 手に力を込めて、ガタリという重い音と共に、扉は開かれた。 あれ? 何かが変だ。 扉の外に立つものの姿を見て、 俺はその違和感の正体に気が付いた。