忘れる訳がない。

僕と水萌が『橋爪クリニック』を訪ねた時、僕たちに話しかけてきた事務員の女の人だ。

けど、
「何で、俺の電話番号をご存じなんですか?」

僕は聞いた。

確かに、水萌は彼女にスマートフォンの番号が書かれた紙を渡したけれど。

でも、それが何で僕にかかってきたんだ?

「えっ、違うんですか?」

「いや…クソッ」

水萌の仕業だな、全く。

いてもいなくても、やることは変わらない。

しかもその行動はロクでもナナでもないと言う。