「放課後、蓮ちゃんを図書室に呼び出したの。

朝登校した時に下駄箱に手紙を入れて、蓮ちゃんに図書室にくるように呼び出したの。

直接言うの、恥ずかしかったから」

「ああ、そうだったな」

懐かしい昔の思い出に、僕は耳を傾けた。

「蓮ちゃんのためにクッキーを作ったの。

蓮ちゃん、チョコが嫌いだって聞いてたから」

そう、あの日の彼女はチョコレートが嫌いな僕のためにクッキーを作って、プレゼントしてくれた。

「けどさ…あのクッキー、クソマズかったよ」

そう言った僕に、
「仕方ないじゃない、砂糖と塩を間違えたんだから」

水萌が言い返した。

「間違える意味がわかんねーよ」

フフッと、静かに2人で笑いあった。