ハッと目を見開いた翔
そこからしばらくの沈黙が続き、俺は再び口を開いた
「確かに昔から叶えたかった願い、そのチャンスがなくなったのは辛いことかも知れない
だけど……その為にお前は仲間に手をかけるのか?
お前にそんなことができるのか……?」
見開いた翔の目から、静かに流れ出した涙
俺は刀を鞘に戻した
「お前にとって仲間は、お前を愛してくれる大切な人ではないのか?
命の重さはお前だってわかっているはずだ。違うか、翔?」
「俺は……」
赤い瞳から流れる涙
それが合図かのように気が弱まっていくのがわかった
「人を生き返らせるのは簡単なことではない
だけど、まだ方法がなくなったわけではないんだ。
また別の方法を考えよう
―――お前は1人じゃない」
「藤丸……」
スゥ、と翔の赤い瞳は消え、色素の薄い茶色の瞳が俺を映した
「さあ、帰ろう」