初めてそんなことを言われて、思わず目を丸くした。


自分でも思ったことないのに。


「え、えっと…」


「あ、なんか俺また間違えた?」


「そうじゃなくて、そんなこと言われたの、初めてだったから…」



「照れんなって

なんか俺まで恥ずかしくなんだろー!

っつーか藤原、なんで教室いたんだ?」


先生は本当に照れていた。

だって少し困った顔をしているもの。


「んー、気分です」


「ははっそっかそっか

じゃあ少し話して帰るか?」


「えぇっ!」


思ってもみない言葉が返ってきて、声が裏返った。


恥ずかしいけど、でも心臓が跳ねたような


変な気持ちになっていた。




「なんてな!

じゃあ俺、そろそろ職員室戻るとするわ

出席簿、ほんとサンキュな!」


そう言って悪戯っぽく笑う。


この人はたくさんの笑顔を持ってるんだ。


そのまま教室から出て行こうとする先生の後ろ姿を見て、引き止めたいと、
思ってしまった



「あ、あのっ!!」