初恋の行方〜謎の転校生〜

ベッドの淵に腰掛け、脚をぶらぶらしていたら、カチャッとドアが開き、トレーを持った柏木君が戻って来た。


私を見て、“おや?”という顔をした彼に、


「これ、無断で借りちゃいました」

と、トレーナーの胸を引っ張って私は言った。


「別に構わないけど、それ、俺が脱いだやつだろ? 臭くないか?」


「ううん、大丈夫」


「そっか?」


柏木君がトレーをテーブルに置き、私はソファーに移動した。


柏木君は私の向かいに座ると、「はいよ」と言って私の前に黒のマグカップを置いてくれた。


そのマグカップからは、湯気と共に、ココアの甘い香りが立ち登っていた。


「本当にココアを入れてくれたんですね?」


「もちろん。と言っても、律子さんに教わりながらだけどな」


「うふ。じゃ、いただきまーす」


「お、おお」


私はマグカップを両手で持つと、ズズーとココアを一口飲んだ。


「どうだ?」


「はい、美味しいです!」


「そっか」


私的には少し甘さが足りなかったけど、それは言わかなった。