初恋の行方〜謎の転校生〜

が、すぐに受話器を戻してしまった。


「律子さんには仕事を頼んだのを忘れてた。自分でやるか……」


「あ、じゃあ私のは簡単なのでいいから。ココアは面倒だから……」

と私はすかさず言ったのだけど、


「いいから、任せてくれ」


と言って柏木君は行ってしまった。


私は一人になると、何か着るものはないかなと、辺りを見渡した。いつまでも下着姿じゃ恥ずかしいから。


すると、ベッドの上に脱ぎ捨てられたグレーのトレーナーが目に入った。もちろん柏木君が着ていたものだと思う。


それを手に取り、鼻を近付けたら、ほんのりと汗の匂いがした。

気になるほどではないので、それを私は頭から被った。

途端に汗の匂いに包まれ、まるで柏木君に抱きしめられたような気がした。


当然ながら私には大き過ぎて、袖は捲り上げないと手が出なかった。