ー紫神(シガミ)ー


 「今回の依頼者に感謝だね〜。なんせ【愛】を再確認したんだもん。うん、いい仕事した」


 1人で喋る青年に、少年は頭痛がした。

 「愛?君はいちいち動くたび、自由になる手足に感謝しているか?」

 「いや?」

 「では、昨日食べた魚だ。僕に食べられるために死んでくれてありがとうと泣いたか?」

 「まさか。おいしく頂いたよ。知ってるでしょ?」


 「ならば、太陽に、毎日感謝するか?」

 「しないよ」

 「では空には?」

 「しない」