ホッとしたような顔を見ると、私もなんだか安心したような穏やかな気分になる。
「どうして、”ぶどうちゃん”なの?」
「カイがさ、おつかいから帰ってきたときに、ぶどう味のキャンディーを握りしめてたんだ。
目に涙浮かべてたけど、決して泣いているわけじゃなくって。
誰にもらったか聞くと、”ぶどうちゃん”って」
わたしがカイくんに飴玉を渡した日のことを、本当に嬉しそうに語る彼。
そんな様子を見るだけで、弟のことを大事に思っていることが伝わって来る。
「ほんとは俺、あのときスーパーのそばにいたんだ。
でもよそ見してたから、気づかなくって」
ちなみによそ見していたのは、おばあさんがつまづいてしまったのを助けていたみたい。
そのエピソードを聞くだけで好青年さがわかる。
なんていいお兄ちゃんなんだろう。
まだ幼い弟が心配で、そばで見守っていたなんて。
ジーンと心に温かいものがくる。