「ほんっとうに、昨日はごめんね!」
廊下で深々と頭を下げる。
追い出すなんて本当に失礼なこと。
それでも右京くんは、気にするな、と声をかけてくれる。
「親父さんだって知らない男が家にいるとビビるだろ。
あ。料金については———」
ちゃっかりお金の話をするところが彼らしい。
「ちゃんと朝飯食ったか?」
「うぅ...えへへ...」
頭の中で我が家でのことを思い返す。
『おい、どうして洗剤の量を間違えるんだ!
泡が溢れてるじゃないか!』
『米がゴワゴワ...ちゃんと洗ってないな?』
右京くんがいなくなってから、我が家の歯車は壊れてしまった。
もともとわたしは料理...苦手だし。
お父さんも料理はしない。