「俺はベリル。王女の12騎士の一人で剣士だ。お前は?昨日召喚されたって奴か?」
フェンはそれには答えず、逆に質問を返した。
「ベリル。ダンテ、もしくはクエロという名に覚えはないか?」
フェンはちら、とベリルの落とした剣を見つめた。
それは確かにダンテ、フェンの師匠が使っていた剣と同じものだった。
ベリルがいぶかしげにフェンを見た。
「クエロは俺の兄弟子だが……?」
「師匠の……弟弟子」
「なんだと?」
フェンとベリルは近距離でお互いの顔を見つめ合った。
フェンは跳んでベリルから距離をとると、小刀をしまい、棍を手に取った。
「ぼくはフェン。まだ肩書きはない。でも……お前とはまた会うことになるだろう」
まだ、訓練に十分な時間をとっていなかったが、フェンはそこから逃げるように去った。