「お兄様……おにい、さま……」
彼が愛用していた椅子にもたれかかるように、眠るようにして聖リーディアス王国の王位後継者、エドワード・フォン・デルカリル=リーディアスは死んでいた。
その心臓が動いていたはずの場所から、未だに血が流れ、床の上に川のように広がっていた。
彼の妹であり、聖リーディアスの王女であるティターニアは信じられないとでも言うように目を見開いて、兄の死体を見つめ続けていた。
優しく、聡明だった兄の面影はまだ、そこに残っているのに。
その兄が死んだと信じることは出来なかった。