旅人は身請けの話を村長とフェンの家族にしに行った。
フェンは一人広場に残されていた。
「フェンちゃん」
「ロッティ?」
名前を呼ばれて振り返ると、そこに赤毛を二つに三つ編みにした少女が立っていた。
背はそこそこ高いのだが、そばかすのせいか幼くみえ、あか抜けない印象がある。
この一年で村娘というよりは戦士か騎士のように育てられたフェンとは違い、ふつうの村娘だ。
名前はチルロット=リンシェン。
フェンの幼い頃からの幼馴染であった。
この村で最初に病にかかった幼馴染だ。