フェンは木の棒で穴を掘っていた。
一日かけてろくに休みもせず、何もしゃべらず。
ランジェはフェンの隣で、やはり何もしゃべらずそこにいた。
ある程度の広さ、深さになると、フェンは木の棒を離し、両手を胸の前で組んだ。
フェンの体から黄金のマナがあふれ、開けた一帯を一気に浄化した。
その黄金のマナは元はランジェのものであり、女神の代替者としてのものだ。
異世界の化け物を消したのも、汚れをすべて払ったのもこの力あってこそだった。
フェンは目を開け、手をほどくと、固く、重く、そして動かなくなってしまった旅人の胴を持ち上げようとした。
しかし、思うようにはいかず、フェンは旅人もろとも穴の中に落ちてしまった。
フェンは動かず、そっと呟いた。
「痛い……」