ランジェが旅人から離れると、ランジェの手には二色の玉があった。
「赤はミカゲに、青はフェン、お前が持て」
「え?」
「俺の記憶だ。赤のそれは魔法にもなってるが、青いのは、ただの記憶だ。お前、俺の過去を知りたがっていただろう。その玉を呑めば知ることができる」
「師匠の……記憶」
「赤はミカゲに渡してくれ、そして、ミカゲの元で魔法を学べ」
「ミカゲさんに?」
「思い出したから信用できる。ミカゲの元なら安心だ」
「……」
「南の街に行って、そこのワープゾーンからネニャフルに戻ればいい」
「師匠は、行けないんですね……?」
「ああ」
「もう……何も教えては貰えなくなるんですね?」
「ああ」
「もう……もう、一緒に旅をすることはできなくなるんですね」
「ああ」
「ふっ……うう……うぅ、うぁあああっ!!」
フェンは旅人にしがみつくと大声で泣き出した。
旅人は驚き、それからあやすようにフェンの背中に手をまわして、優しくたたいた。