フェンと旅人は宿屋に入った。
部屋は二階の一番大きな部屋だという。
一番大きいといっても、ネニャフルで使っていた部屋と大して変わらない大きさらしい。
国境近くの小さな村であれば、それも仕方のないことだった。
ふつうに街道や森や草原を歩いているときは大して路銀は使わないが、こういう村では寝る場所にさえお金がかかる。
その代わり、快適でそれなりの安全が保障されるわけだが。
フェンは部屋のドアを開けようとして、はっと何かに気付いたように身をこわばらせ、棍を握った。
そして、ドアを開けようとしたとき、突然内側から開き、人が襲い掛かってきた。