「知らないし。 てか、天下の栄東商業の生徒が 深夜徘徊していいの?」 それは、 高くもなく、 低くもない声。 女ともとれるし、 男ともとれる声。 どこか惹き付けられる、 アタシの大好きな声が響いた。 「“深夜徘徊”って言っても、 まだ22時だしぃー。 条例では23時以降が “深夜徘徊”だもん」 アタシがそう言って笑えば、 里緒もクスクス笑う。 「ったく。 優等生のクセして、 こんな夜に出歩くなんて笑っちゃう」 「今さらじゃん? だってアタシ等、 小六からこんな生活だし」