ギュッ、と力を込めて、 運転する柚樹の背中に掴まると、 彼はクラクションを パァパァパァ、と三回鳴らす。 「大丈夫だよ、柚樹」 優しい音に、ほっと胸を撫で下ろして、 アタシはその背に身体を委(ゆだ)ねた。 彼からは、優しい柑橘(かんきつ)系の 香りがする。 それと、スゥッとする、煙草の香り。 その香りは、 いつも柚樹から香るもので、 なんだか安心する。 ――――柚樹のケツ。 そこは、アタシが一番 安心できる場所。