そう。

昨年まで一人で見ていた近所の花火大会。
だけど、今年は沙夜に誘われた。

どうせさくらは彼氏が居たし。
たまにはいいかと思って出かけてみたものの…別に何もないんだよなぁ…。

沙夜の事は友達としか思ってないし。

「そうだな…って。酷いなぁ、もぅ。」

俺の言葉が沙夜の機嫌を損ねたのか、そう言って、彼女はおとなしく仕事に取り掛かっていた。

その日、俺の仕事はさくらの事が気になって、まったく進まなかった……。


       *


仕事から帰ると、いつものように、ポストにある合鍵を使って、勝手にさくらが家に来ていた。

「…遅い。」

しかも、イキナリ不機嫌。

「…仕方ないだろ。仕事なんだから。」

だいたい、誰のせいで仕事進まなかったと思ってるんだ。

「…………。」

俺の機嫌が悪い事を悟ったのか、さくらはそれ以上言わなかった。

「……んで?何?」

昨日の後、一度も話してないせいか、思わず言葉が冷たくなる。