黙りこくった俺の耳に、いつもの蜂谷の嫌味が聞こえてきた。
「あぁ、なるほど」
蜂谷に言われて、磯辺は納得したように口角を上げて微笑む。
その余裕さえ感じられる笑顔に苛立つ。
「あっ、いたー!」
廊下のほうから聞こえてきた声に反射的に振り返ると、顔は知っているけど名前は知らない、そういう存在の女子が俺にむかって手を振っていた。
「笹倉? おまえ帰ったんじゃなかったのか?」
「トイレでおめかししてたのー。瑠衣くんと一緒に帰ろうと思ってー」
どうやら彼女は笹倉という名前で、磯辺と同じクラスらしい。
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