「歌でもうたってやろうか?」 「……鼓膜が破れるからやめて」 「じゃあ昔話とか?」 「…………」 しつこく言うと、蜂谷が大きく溜息をついた。 あ。そろそろキレるな、こいつ。 俺の読みは正しかった。 蜂谷は勢いよく振り返ると、課題を解くのに使っていた英英辞典をこちらに向かって思い切り投げつけた。 「あっぶねぇな」 辞典をあっさりと避けた俺が余裕の表情で言うと、蜂谷は顔を真っ赤にして怒り出す。