あの日、瑠衣に何があったのか。

俺が思い出せない、瑠衣の好きなヤツのこと。


それって、今いちばん重要なことなのか?

それを知ったところでどうなるんだよ。



警察は事件性がないって言ってた。

瑠衣の好きなヤツのことを俺が嗅ぎまわったって、何かが変わるわけじゃない。



眠り続けている瑠衣が目を覚ましてくれること。

ただそれだけを願い続けるべきなんじゃないか?



どうしても気になるのなら、目覚めた瑠衣に聞けばいい。それだけの話だ。




興味本位な行動を取った自分を反省して、再び、瑠衣の病室に通う日々。

そんな毎日を繰り返し、繰り返し……



気づけば、半年が経った。

病院のベッドで眠り続ける瑠衣は、最初に出会った頃と変わりない穏やかな顔をしている。