「カヤ様! 誰か来ます! 早くこちらへ」 見つめあう僕らを急かしたのは、カヤに仕えている8歳の少女・イヨだった。 「タスク、明日またここに来て」 「あぁ。早く行くんだ」 「うん」 人目を忍んで、逢瀬を重ねた日々。 女王の後継者という高い身分にいる君と肩を並べることは決して許されない。 見つかれば、僕は即刻、死を迎えることになる。 それほどまでに、命がけだった君との恋。 一緒になれないことはじゅうぶんに分かっていたけれど、それでも僕はとても幸せだった。