「……ヒコミコ、おまえが先に飲め。ヒメミコ様の弟君よりも先に頂くことはできん」
「……何をおっしゃる。あなたはこの国の女王ですぞ? わたしのことは構わず、ささ、どうぞ」
――あぁ、そうか。そういうことか。
この男にとって、月が太陽を隠したあの不吉な出来事は、ただの“理由”に過ぎないのだ。
ヒメミコ様を排除するための“理由”。
もしもヒコミコが、ヒメミコ様の次に王になる予定だったとしたら。
あの不吉な出来事など、この男にとっては“どうでもいい”ことなのだ。
喉から手が出るほど欲しがっていた王の座。
そこに就いたばかりのわたしのもとを、たった1人でわざわざ深夜に訪ねてきたのも、そういうことか。
わたしが、自分の次に王の座に就く者を選び、民たちの前で“後継者の宣言”をまだしていないから――……


