「なんの用だ?」 寝所の入り口に掛けられている御簾越しに返事をする。 「姉上を偲んで、1杯どうでしょうか?」 瞬間、怒りがこみ上げてきた。 ヒメミコ様を殺めたくせに、“姉上を偲んで”だと? 御簾をゆっくりと上げると、酒と杯を手にしたヒコミコが申し訳なさそうな顔をして立っていた。 この顔は作り物だ。 ヒメミコ様が亡くなって喜んでいるのは分かっている。 「…………」 寝所に通されたヒコミコが2つの杯に酒を注ぐ姿を見て、ふと、疑問が湧いた。