「遺跡の裏にある広場……」
夏休み後半。
以前、この遺跡のことがニュースで流れた影響もあってか、家族連れの姿が目立った。
ずっとずっと、遠い昔。
ここにまだ主祭殿が存在していた時代に生きていた俺にとっては、今さら見学するまでもないだろう、と、遺跡を横目に素通りする。
蜂谷が指定した、遺跡裏の広場。
そこは、はるか遠い昔、ヒメミコ様と奴婢たちが埋葬された巨大な塚があった場所。
そこにはもう痕跡すらなく、だだっ広い平原が続いている。
いつかはここも、ヒメミコ様や奴婢たちが眠っている場所として発見されるのだろう。
広場の入り口にあるベンチに腰を下ろして、ペットボトルのお茶をひとくち飲む。
そして、ハンドタオルで額の汗を拭っていると、背後から、
「小林くん」
懐かしい声が、俺を呼んだ。


