「小さい頃からそうだよな。瑠衣と一緒に食べると、気分がいい」




父さんまでもが同じことを言う。



母さんが作った料理はいつも美味しいのだけれど、ごくたまに“ハズレ”がある。


“ハズレ”に当たった日、父さんは頑張って食べるものの、完食には至らず必ず残した。



マズイな、と心の中で思いながらも、俺は父さんと違って全部食べる。

作ってくれた母さんに申し訳ない、という気持ちも多少はあるけれど。





――それ以上にあるのは、遠い昔の記憶だ。