ダイニングに行くと、テーブルの上には母さんが腕を振るった料理がずらりと並んでいる。 「いただきます」 手を合わせたあと、味噌汁をひとくち飲む。 今日の夕飯のサラダには嫌いなトマトがたっぷりと入っていた。 けれど俺は、母さんが作ってくれた料理を残さず食べる。 嫌いなものも、全部、全部。 「瑠衣は本当に、おいしそうに食べるのね」 俺が食べている姿を見て、母さんはいつも嬉しそうに言う。