数秒ほどの間を置いてから、律は大きく息を吸い込み、吐き出してから口を開いた。 「――わたしはカヤじゃない」 「………っ!」 このときをずっと待ち望んでいたのに、いまは両手挙げて喜べる心境じゃない。 こんなに切羽詰ったときに真実を知らされても。 ほんとうはもっと早く、俺はそれを知りたかったのに。 「それじゃ、カヤは……」 分かってる。想像がつく。 律がカヤじゃなければ、残るはただ1人。 「カヤ様の現世での名は、」 ごくりと喉を鳴らし、次の言葉を待つ。