まだ訊きたいことがあったのに。
呼び止めるのも虚しいくらいに、ヒメミコ様はスッと消えて行った。
再び静寂に包まれた部屋は、何事もなかったかのようにいつもと変わらない。
ただ、俺の頭のなかだけが混乱している。
カヤとの記憶を持ったままの輪廻転生。
その中心にいる“主”は俺だと思っていた。
それなのに俺は、カヤが民を裏切ったことに対する罰の“道具”にしかすぎなかったんだ。
民を裏切った?
“道具”としての俺の役目がもうすぐ終わる?
次の朔の日に、ヒメミコ様のからだが眠る場所に?
咄嗟に頭に浮かんだのは、律だった。
……なんて勝手なんだろう。
自分から律を拒絶しておきながら、いまは誰よりも律を必要とするなんて。


