――まさか……この人は……
どくり、どくり、と、心臓の音がさっきよりも鈍く、そして速く鳴り始める。
額から汗がだらりと垂れてきたけれど、それを拭う余裕さえもなかった。
『わたしが分かるか?』
俺がこんなにも動揺しているっていうのに、彼女は余裕たっぷりに微笑み、そう問いかける。
「あ………」
言葉が出てこない。
いや、彼女の正体に心当たりがあるだけに、気軽に声をかけてはいけないような心境だと言ったほうが正しいのかもしれない。
勝手に、俺のからだが動いた。
自然と床にひれ伏し、頭を深く深く、下げた。
「ヒメミコ……様、ですよね……?」


