そうやって日々を過ごしていくうちに、

次第に、心とからだが暴走していくようになった。



きっかけは、3年生のなかでも群を抜いて色気のある先輩が、卒業式の日の前日に俺を自分の家に誘ったことだ。


夕暮れどきの自室で、先輩はベッドに俺をゆっくりと押し倒した。




「ね、しよう?」




軽く言われたことで、何かが弾け飛んだ。

一緒に帰ることと同じような、軽いノリ。


男女が肌を重ねあうきっかけは、こんなにも軽いものだったんだ。

もっと、重い意味を持つものだと思っていただけに、拍子抜けした。



先輩は、俺のことを本気で好きじゃないと思う。

ただ、“小林瑠衣”という男を、誰よりも先に手に入れることに夢中になっているだけだ。