冬休みの最終日、律に電話した。

律はひどく弾んだ声で、学校に近いカフェに俺を誘った。




「……嬉しい。本当に電話くれるなんて」


「まぁ、暇だったからな」




湯気のたつカップを、冷えた両手を温めるかのようにして包み込む。




「何から話そうか」




無感情の俺に対して、律はこぼれるほどの笑顔を見せる。




「……俺が死んだあと、あの国はどうなったんだ?」


「あぁ……そうね、知りたいわよね」




言って、律はコーヒーをひとくち飲む。