「俺が先に行く。おまえは俺の後をついて来い」 主導権を握る俺に、蜂谷は素直に従う。 この緊迫した状況で俺と張り合うほど蜂谷もバカじゃない。 息を殺して、静かに、そしてゆっくりとトイレを出る。 その状態を保ちながら、階段の踊り場を抜け、教室の後ろの引き戸に身を寄せた。 「………」 「………」 蜂谷が無言で顎をくい、と上げ、中を見ろと指示する。 俺もまた無言で頷き、引き戸の上部にある小窓をそっと覗いた。 ビンゴ。 待ち望んでいた犯人の登場だ。