「どういう……つもり?」
震える手でマフラーを握りしめた律は、険しい表情で俺を見た。
「瑠衣……、これをわたしに渡すってことは、あのことを忘れたからなんだよね? わざと、じゃないよね?」
いまにも泣き出しそうな声で律は訴えてくるけれど。
非情にも俺は弁解すらせず、律の言葉を待ち続けた。
「……覚えてる? ……ううん、思い出して。ヴュルツブルグでのこと」
あの悲劇が起きた町の名前。
じわじわと首元に違和感を感じる。
まるで、締め付けられているような。
「マルクト広場で、瑠衣はわたしを……」
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