「……わたしに?」 翌日の昼休み、慶太に頼んで律を屋上に呼び出した。 俺が直接律にクラスに行ってしまったら、蜂谷の二の舞になりかねないと思ったから。 昨日見つけたマフラーが入った紙袋を渡すと、律は嬉しそうにはにかんだ。 「こないだ泣かせたお詫び」 「お詫びだなんて……。わたしも取り乱したりして悪かったわ」 心が痛む。 でも、マフラーを見て律が血相を変えるとも限らない。 ……そんな俺の読みは、もちろん甘かったわけで。 どうせなら、何も行動を起こさなければよかった、と、ひどく後悔した。