「……そういう話、今はやめてよ」 迷惑そうな声で言うけれど、蜂谷は自分の頭上に置きっぱなしになっている俺の手のひらの存在まで排除しようとはしない。 「……悪い」 蜂谷との距離を引き離しているのは、俺自身だ。 過去の記憶を取り戻してほしい。 蜂谷を手に入れたい。 そういう必死な思いが空回りしてばかりで、結局は蜂谷の逆鱗に触れるんだ。 「……っしゅん」 遠慮がちに蜂谷がくしゃみをする。 「……先、帰れよ。マジで風邪ひくから」