……蜂谷は、時々おかしくなる。
俺を泣きながら拒絶したかと思えば、こんなふうに俺が触れても払いのけようとしないときもある。
でも、ここで期待してしまうと、肘鉄のように痛い思いをする羽目になってしまう。
蜂谷が“カヤ”だったときの記憶を取り戻してくれたらいいのに。
柔らかい蜂谷の髪を撫でながら願うけれど、それが届くことなんか、ない。
「……磯辺はこのこと知ってるのか? 蜂谷が毎日ここにいるって」
「まさか。心配かけたくないの。磯辺くんにも習い事って言ってるし」
磯辺という普通の男と順調に付き合っている蜂谷。
前に笹倉さんが言ってた。
磯辺だけが夢中になっていて、蜂谷はどことなく冷めているようだ……って。


