個室に連れ込まれた蜂谷は大げさにからだを仰け反らせ、文句の続きを言い始める。
「一緒に入るのやめてよ。て言うか、お願いだから帰って」
「………」
蜂谷の騒音をシャットアウトして、外の様子に耳をそばだてる。
「ねぇ、聞いてんの? 帰れって言って……」
「ちょっと黙れ」
咄嗟に蜂谷のお喋りな口を手で塞ぐ。
外でかすかに足音が聞こえた。
その音は蜂谷にも聞こえたのか、抵抗すらせず、俺と同じように聞き耳を立てた。
歩く音から階段を上る音に変わる。
その音の主がいるのは階段、ということしか分からない。
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