「……蜂谷、だろ?」
小さな声で呼びかけると、個室のドアがキイッと耳障りな音を立てて開いた。
そこにいたのは、俺と同じようにバッグと靴を抱えた蜂谷だった。
「なんであんたが」
小さな声だけれど、今にでも噛み付きそうな勢いで蜂谷は言う。
「いや、俺が訊きたい。なんで男子トイレの個室にいるんだよ。おまえ、変態呼ばわりされるぞ」
真顔で突っ込むと、蜂谷は悔しそうな顔で俺を睨んだ。
「あたしは犯人探しよ。犯人は絶対に女だと思うから、女子トイレなんかに隠れていたら、鉢合わせするかもしれないじゃない」
……あぁ、なるほどね。
決死の覚悟で男子トイレに篭ったってわけか。


