――“大丈夫”なんて、どの口がそんなこと言うんだろう。
教室で倉田と別れた俺は、ボロボロになった蜂谷の靴を持って、とりあえず靴箱へと向かった。
校庭で行われている後夜祭に配慮してか、靴箱の天井にある照明は半分だけしか点けられておらず、薄暗い。
蜂谷の靴箱を覗くと、当然そこはからっぽだ。
校内を捜しまわっているのか、それともあきらめて上履きのまま後夜祭に参加しているのか。
靴箱に背中をあずけ、そのまま力なくしゃがみこむ。
頼りない照明に照らされた蜂谷の靴は、さっき教室で見たときよりもその様は酷い。
この靴を傷つけた“犯人”は相当、恨みがあるんだろうか。
今朝まで普通に蜂谷の足にあったこの靴は、もはや完全にその機能を失っている。
“女の沈黙ってのは怖ぇぞ”
慶太の言った言葉と、
“蜂谷さんを守ってあげなよ”
笹倉さんの言葉を思い出す。


