「なによ」
……もう戦闘体勢に入っているし。
「今日の俺の演奏、どうだった?」
そう訊くと、蜂谷は待ってましたと言わんばかりに間髪入れずに言い放った。
「最悪よ。あたしの大嫌いな曲をあんたが弾いたから、苦痛の時間だったわ。題名も長ったらしいし、よくもまぁ、万人受けしないアレを選んだわね」
「……嫌い? あの曲を?」
確かめるようにして訊くと、蜂谷はハッとした顔をする。
「そんなことどうでもいいじゃない。て言うか、離してくれない?」
しっかりと蜂谷の肩をまだ掴んでいたことに気づき、ゆっくりと手を離す。