「平和な世界だよなぁ」




昼休みの校舎の屋上。

残暑が厳しい9月のはじめ。じりじりと照りつける太陽の光に目を細めながら、思わず呟いた。




「なんだよ突然。頭でも打ったか?」




俺の傍らで、親友の慶太が弁当をかき込みながら不思議そうな顔をする。




「や、まじで。そう思わね? 戦争も、変な身分制度もないんだぞ。それに、自由に恋愛ができるんだ。ここは平和な世界だよなぁ……」




しみじみと言う俺に、慶太はぶぶっと吹き出す。

そして、大げさに笑いながら言った。




「おまえの場合、自由に恋愛しすぎだって! ハーレム状態じゃん」