「ぎゃぁぁぁああっっ!」
「ヴェラっ!!」
ヴェラの上半身は暖炉に突っ込んでしまい、髪と肌の焼ける嫌な臭いが漂った。
僕は大急ぎで彼女の両足を掴み、暖炉から引きずり出す。
ヴェラは火だるまになって、絨毯の上を転げまわった。
「マティルダ! 水を! いや、誰か呼んで来て!」
ソファに掛けられたカバーを剥ぎ取り、ヴェラのからだをそれで叩きつけ、必死に火を消そうとする。
マティルダは身動きひとつせず、真っ青な顔をしてガタガタと震えているだけだ。
「……くそっ」
テーブルの上の、花が生けてある花瓶が目に映った。
花瓶を手に取り、中に入っているわずかな水をヴェラにかける。
「………っ!!」
声にならない叫びをあげるヴェラはもがき苦しむことしかできない。


