俺のピアノを……いや、正確に言うと“あの曲”を聴いたら。
蜂谷に昔のことを思い出してほしいと、切実に願う。
正直、“あの曲”を弾くのは気が引ける。
あのときの記憶も、ひどく辛いものだったから。
特に辛い思いをしたのは、俺じゃなく君のほうだった。
思い出したとたん、もしかしたら君は俺のことを非難するかもしれない。
でも、それでも……
“蜂谷”に、“この曲で"、すべてを思い出してほしい。
最後に残された“最強の切り札”は、気が狂いそうなほど辛くて。
二度と思い出さないように、俺はずっと封印しているのだから。
どうか、それを使わせないでほしい――……


