「おまえがピアノ弾けるのは知ってたけど、まさかステージに立つとはなぁ」
文化祭1日目の朝。
俺がステージでピアノを弾くことを知った慶太は、感嘆の溜息をついた。
「で? 何の曲弾くんだよ」
「……知ったところで分かるのか?」
文化祭のプログラムには、敢えて曲のタイトルを載せないように山田先生にお願いした。
あの曲を聴いたときの、蜂谷と律、それぞれの反応を知りたかったから。
「おっ、蜂谷ー。瑠衣のピアノ聴いたら、おまえ、少しは瑠衣のこと見直すんじゃね?」
すぐ近くの席で、親友の倉田と楽しそうに喋っている蜂谷にむかって、慶太が茶化すようにして言う。


